Nov 11, 2011

近況-その2:図書館総合展-

第13回図書館総合展 3日目に行ってきました。
気合を入れすぎて、3つもフォーラムに参加したため、お腹がいっぱいになりました。
参加したフォーラムは、、、
1.導入事例から学ぶラーニングコモンズの課題と運用の重要性~ハコだけでいいのかラーニングコモンズ~
2.世界と日本のRefWorks-RefWorksのアップデート情報と世界の事例報告-
3.機関リポジトリと著作権制度

1のラーニングコモンズのフォーラム

パネリスト(図書館界では有名人)たちが壇上でわいわい語り合うスタイルでした。岡本真さんが司会で、かたつむりの佐藤翔さん、鶴見大の長谷川豊佑さん、情報学環の山内先生、丸善の伊藤さんの4人がパネリスト。みなさんざっくばらんに本音トークを炸裂させて、なんというか、新時代の図書館のイメージを象徴しているなぁと思いました。個人的には、おかしな敬語満載の歯がゆい建前トークよりも好きだし、時間の無駄にもならないし、自分もこっちに近いのだけれど、職場の(一部?大部?の古風な)人々が頭をよぎるにつれ、ふたつのグループに深い深い溝があると感じちゃう。

敬語といえば、、、かなり大人になってから留学したからか、意識的にアメリカ文化にadjustさせたために、リバウンドで、日本文化に元通りにはまらなくなっちゃったんです、わたし。それで、社会人らしい言葉遣いを毎年ひとつ卓上カレンダーの台紙に書いています。標語みたいに。去年は「とんでもないことでございます」でした。間違った敬語の常連さんですよね、「とんでもございません」て。もともと「とんでもない」がワンフレーズなわけで、「とんでもないです」<<「とんでもないことです」<<「とんでもないことでございます」と(敬語的に)成長/出世していくわけ。今年は「本日は失礼させていただきました」です。夕方にオフィスの誰かに電話がかかってきたとき、すでにその人が帰宅しちゃってた場合の台詞です。「今日はもう帰っちゃいました」とわかり易く伝えていたのですが、社会人レベルの高い同僚が上記台詞をさらっと言っているのを見て、今年の標語に決めました。もうひとつの今年の標語は「部分最適は必ずしも全体最適とは限らない」とか、そんなのです。ついつい目先の騒動を治めることを考えてしまいがちなので、物事を俯瞰的に捉えましょうという自戒です。

話がそれたので、トラックに戻します。

ラーニングコモンズのフォーラムでは、「コモンズっていうからには、(その大学の構成員以外)誰でも利用できるんじゃないの?なんで利用できる人を(構成員に)限定するの?」に始まり、「ラーニングコモンズあるある」系のお題に4人のパネリストが意見をぶつけあいながら進んで、活気がありました。みなさん、さすがに「ちょっと思っちゃった」じゃなくて、きちんと説明のつく意見を出されていて、勉強になりました。ちなみに「コモンズ」は、「クリエイティブコモンズ」のようなopen to publicなものではなくて、「communityの入会地」が元になっているわけで、利用者を限定することは間違った解釈ではない。ただし、コモンズの運営側の考え方によって、それぞれ利用者の枠を決めていけばよい。というまとめになりました。

2.RefWorksのフォーラム

「近況-その1-」でも書いたように、citation management toolに興味津々丸なので、情報を得るために参加してきました。(うちの学校ではまだなんも導入してないので、学生さんにフォーマルには紹介できなくて歯がゆい。)6年ほど前のU of T時代にRefWorksはちらっと使っていて、でも、使いこなせてなくて、留学したらEndNote(プログラムのほう。webじゃなくて)をがつがつ使って、日本への帰国が決まってからはZoteroに乗り換えて、と、それなりの期間こういったtoolに触れてきて、できることは大体わかっているつもりなので、正直言って、めちゃ新しい情報は今回は出会えませんでした。
citation management toolについては、「これを使っていれば間違いなし!」なtoolをひとつ紹介できればよいというものではなくて、有料のものも無料のものも、どういうものがあるのかを知っていて、それぞれを学生に紹介し、彼らに選んでもらうことがacademic librariansには求められていると思うわけです。傾向としては、RefWorks、EndNote、Zotero、Mendeleyが優勢っぽいですね。最近発表されたReadCubeも注目しています。
追記:理系ではBibTeXがあった!文系なのですっかり忘れてました。ごめんちゃい。

1.のフォーラムでもちらっと発言がありましたが、どこか(図書館)がいくらハコやらtoolやらを用意しても、結局、学生さんたちがどんなlearningをしているのかってのが問題になるんですよね。つまり、「グループワークができるし、すぐ後ろでワークしている他のグループから刺激を受けることだってあります!」とラーニングコモンズを作っても、どんだけの学生がグループワークをしているか、言い換えると、どんだけの教員が学生に授業時間外でグループワークが必要になるようなassignmentを出しているかが問題だというわけです。同じことがcitation management toolにも言えて、いくらいくつも紹介して便利だよーって宣伝しても、bib listがないといった、paperのカタチを成していないものでも受け取って成績を付けちゃう教員ばっかりだったら、学生さんとしては、めんどくちゃいstyle manualをわざわざ気にする必要なんてないわけ。citation management tool?なにそれ?で終わりですよ。教員自身は論文投稿する身だから、style manualをすごく意識しているはずで、本当は学生さんにもちゃんと記載してもらいたいって教員はみんな思ってるはず。図書館が先生に代わってcitationのこと、面倒みます!先生の負担を減らします!って売込みをかけなくちゃね。

3の機関リポジトリと著作権のフォーラム

講師が出版社出身の弁護士(村瀬)さんでした。フォーラムでパワーポイントを一切使わず、1枚のレジュメに沿ってひたすら語るという形式は新鮮でした。「法学部の大規模教室での講義では結構あったなぁ、久しぶりだなぁ、こういうの」が率直な感想です。内容は、硬いようでいてGoogleが実施したオプトアウト(opt-out)など最近の動向も取りあげたわかり易いものでした。「最終的には(機関リポジトリ)担当者が腹を括るしかない」という名言を残されました。うちの学校は機関リポジトリやってないので、すぐさま業務に活かすことはできないけれど、問題ポイントになりそうなケーススタディもいくつも知れたので来るべき日の備えとしては、十二分の内容でした。

おまけの独り言
図書館総合展は、情報収集だけでなく、1年に1回懐かしい人々に会えるチャンスでもあるので、毎回可能な範囲で訪れています。来年も楽しみ!

近況-その1-

2009年8月にエントリーして以来、実に2年以上にわたって放置してきた本ブログを何を思ったか、超久しぶりに更新しています。

まずは、この2年にあった主な出来事を報告します。

【仕事】
#2009年10月から都内の大学図書館に勤務
#担当は「学習支援」---講習会関連、ピアサポート関連
※学習支援じゃないんだけど、なぜか利用案内づくりも担当していて、これがボリュームがあり、緻密さも求められ、結構しんどい。(緻密な人間ではないので)

【訪問図書館】
マイアミ大学図書館 2009年12月
延世大学図書館 2010年7月
オランダ国立図書館アムステルダム市立図書館 2010年8月
ハワイ大学マノア校 シンクレア図書館 2010年10月
韓国国立図書館
 2010年11月

【現在の興味】
学生さんにcitation management toolを「便利だー!」と感じながら使いこなしてもらえるようにしたい。