Apr 27, 2008

break

冬学期も終わりました。
※正式にはまだ試験期間中。私の科目は全部終わり。

今学期の受講科目は「図書館評価」「本・出版の歴史」「情報基礎」の3つでした。

workloadが一番多かったのは「情報基礎」。毎週水曜日に授業で2つの演習問題が出て、金曜日が締め切り。なおかつそれぞれのソフトやらテーマで課題が出され、延べ7つの課題(project)に中間と期末の2つのテストがあった。

最終的に一番きつかったのは「本・出版の歴史」。楽しかったんだけどね。ひとり20分ほどのケーススダティのプレゼンと期末レポート、期末レポート第2弾。授業でDetroit Public Libraryの稀覯本(rare books)コレクションを図書館職員によるレクチャー付きで見せてもらったりもした。アンドレアス ベサリウス(Andreas Vesalius)による現代医学(?)の基礎となった解剖学の本(図譜)のうちの1冊も所蔵していて見ることができた。そこで使われている解剖図はすべて木版画なんだけど、版木は1度消失して、見つかったんだけど、火事で燃えちゃったという残念なお話。だから、もう同じ図を同じ方法で印刷することはできないんですね。図書館職員さんは、どこだったかの大学で稀覯本だったか歴史だったか、ラテン語だったかのレクチャーをしているんですって。西洋の古い文献を理解しようと、いや、少なくとも読もうとするとラテン語は必須なんでしょうね。

やりがいがあったのは「図書館評価」。3人一組になって3回の演習で対象に決めた図書館の評価を試みた。私たちのグループはうちの学校から比較的近くにある小規模大学図書館。

1回目は、「Direct Observation(参与観察法/直接観察法)」。実際に訪問してみて家具の配置や空調、照明などの雰囲気、利用者の様子、利用者に対する図書館職員の態度、コンピュータと本の状態などを観察して評価する。私はDetroitの日本人会の人にその大学まで送り迎えしてもらったのですが、雪が毎日降っているような時期だったので非常に寒かった記憶がある。

2回目は、「Collection Evaluation(コレクション評価)」。コレクションを評価するには複数の手法があって、私たちが採用したのはCurrency Examination Method、 Shelf Availability Method、と List Checking Method。全コレクションを対象にしたのでは途方もない量になるので主題を絞りました。また、媒体も書籍、雑誌、CD,Video,DVD、Onlineとあるので主に書籍を対象としました。

Currency Examinationでは、決めた主題のOPACの検索結果を発行年で並べてグラフにしたり、その主題の基本的なレファレンスブックの最新版を所蔵しているか、していないなら何年版まで所蔵しているかをチェック。Shelf Availabilityでは、OPACの検索結果を配架されているのか、貸出中なのかをチェック。List Checkingでは主題の基本リストを元に所蔵/未所蔵をチェック。この基本リストはリストを掲載した本(BCL: Books for College Libraries)、World CAT(アメリカのOCLCという機関が提供している目録データベースで全世界の主に大学図書館の所蔵データを登録しているもの)の主題検索トップ100、対象図書館のpeer機関図書館の主題蔵書。BCLはACRLが作成・発行していたもので、現在はOnline resourceも含めてOnlineで提供している。Resources for College Libraries。でも、ACRLのメンバーでないとアクセスできない。

日本にもBCLに相当するリストってあるのかな?と疑問を感じた。BCLに載っている資料を全部所蔵するなんて予算の関係上無理なのは理解できるけど、リストに対してどれだけ所蔵しているのかはわかりやすい指標になるし、購入を見送る際の理由もBCLを利用すると明確になると思うんだけどなぁ。TRC(図書館流通センター)から毎月送られてくる分厚い新刊のご案内を図書館で検討する姿は公共図書館でよく目にしたけど。あとは大学図書館の場合は教員にアンケート取ったり、教員(と図書館職員)による図書館/選書委員会での検討かな、聞いたことがあるのは。日本の大学図書館ではほとんどの決定権が教員に委ねられていると言うけれど、選書会議などでコレクション評価をしてみた結果を提示して意見を聞くのってもうやってるんだろうか?きっとこういう地道なリスト作成とチェックは図書館のお仕事で、実を結ぶ可能性はあると思うんだけどな。

3回目は、「Web site Evaluation(ウェブサイト評価)」。これも2回目のコレクション評価と同じくいくつかの手法がある。というか、たくさんonlineに資料が転がってる。共通している評価項目は「Access」「Authority」「Content」「Currency」「Design」「Navigation」といったところかな。各項目ごとにポイントが割り当てられていて、全部満たすと100点になるように作られているものもある。でも、たとえば「Access」の10点中7点、って評価者の感覚に依ってきちゃうじゃんね。で、私たちは100個の質問を用意したCheck listも採用した。これは、Yes/No式で、たとえば「図書館のウェブサイトの各ページへのリンクと大学のウェブサイト(と主だったページ)へのリンクはあるか」の質問に対して、リンクがあれば「Yes」となり、1点獲得、トータルで100点という寸法。上の10点中何点か、点数をつける方法よりもはっきりしてるかな、と期待したんだけど。。。実は、2種類のリンクが貼ってあって「Yes」だから1点獲得しても、デザインが悪いと使いづらかったりするんだよね。でも、1点は1点。リンクはあるんだもの。あと、online referenceをメールとチャットとで試してみてreference librarianの回答を試すってのもやってみた。

図書館の評価って、利用状況(貸出件数やダウンロード件数、レファレンス件数、ILL件数)や利用者満足の視点も重要なんだけど、私たちは学生で、授業の演習でやっていることなので内部資料やアンケート実施にまでは踏み込まなかった。それにしてもかなり実践的な授業だったなぁという感想を持った。UofTでも図書館の評価について考える時間が多かったけど、もっと理論的というか、具体的にどこかの図書館を評価してみましょうっていうのはなかった。

ところで、「情報基礎」のうちのひとつの課題で取り上げた「Flickr」では、2008年の1月からLibrary of Congressも古い写真のコレクションをアップしてる。The Commons。担当者いわく、「古い写真の中にはいつどこで撮られたのか全然わからないものもあるから、利用者の中にわかる人がいたら、tagをつけてください。(ただ写真が並んでいるよりも)情報を付加して写真の価値を高めることになる。」んだって。これまで図書館ってサービスを利用者に提供する(してあげる)立場だったけれど、少なくとも図書館に興味を持ち始めてから初めて利用者に図書館が情報の提供をお願いするコメントを目にした。

↑出典:Flagg, G. (2008). LC Teams with Flickr. American Libraries, 39(3), 1.

Apr 4, 2008

Microsoft Office2007 -2-

はてさて、前回の投稿からカレンダー上では2ヶ月が経っています。怠け者ですね、わたくし。

で、この2ヶ月何をやっていたかといいますと、授業を受けていました。学業まで怠けていたわけではありません、あしからず。

Information Technologyのクラスでは、Microsoft Officeの各ソフトの使い方を学んでおり、毎回の授業で宿題(Exercise)が必ず2つと、各ソフトでProjectと名のつく課題(Assignment)が出されます。

はっきり言って、そんなん長い間使ってきてるソフトだから使い方くらい習わなくても知ってるワイ、と思っていましたよ。でもね、さすが授業として成立しているだけあり、また、2007バージョンからガラッと変わっているため、そして、英語なので、吸収することが想像を超えてたくさんあります。

PowerPointでは、Microsoftが提供するcertificate testを受けて合格しないといけません。これがProjectの代わり。私、昨日受けてまいりまして、なんとかぎりぎり合格ラインに届きましたー。テスト内容は、50分の時間制限アリで27問、各設問に1つ、2つtaskがあるものです。

たとえば、こんな感じ。

次の設問に答えよ。
(1) 新規プレゼンテーションを開き、Wordの「outline xyz.docx」(保存されている場所の指定アリ)からアウトラインを挿入しなさい。
(2) 次にテーマをMetroに変更し、3枚目のスライドに「general info.pdf」(保存されている場所の指定アリ)を挿入しなさい。ただし、PDFはリンクが張られたアイコンとして表示・挿入すること。

こういう感じでかなり細かい機能にまで問題が設定されてる。

2007バージョンではSmartArtなど挿入関係とスライドマスターが特徴的なのでしっかり把握しておかないと、あっという間に時間が過ぎてしまう。

それで、U先生がPowerPoint Boot Campという特訓のセッションを授業以外の時間にやってくれたり、1時間くらいの説明ビデオを何本も撮ってオンラインで見れるようにしてくれたり、まっこと行き届いたサポートを提供してくれたわけです。
私は、Boot Campのセッションに1回入隊し、その後、Boot Campの資料を片手に自主練を繰り返しました。

そのおかげで1発合格できたのですが、一緒に受けた2人の学生は、英語に苦労をしないアメリカ人だけど、練習をしてこなかったようで不合格でした。このテスト、$75かかります。1回の申し込みで2回まで受けられます。U先生いわく、Microsoftは、PowerPointを使う能力が十分にあるかどうかを測るのには、「多くの機能に短時間で対応できること」だと考えているんだそうです。

受けなきゃいけないテストに合格できたからよかったけど、実際、そんなに細かい機能まで普段使うかなー?とひそかに思ってたりします。