正直言って、LibQUAL+TMってよくわかってなかったんです。図書館パフォーマンス指標(ISO11620)も図書館の評価をするツールだし、ACRLのStandards for Libraries in Higher Educationもあるし、TQM(Total Quality Management)って口にしてる人もいるし、国立大学図書館の人たちが「大学図書館における評価指標報告書(Version 0)」を作ったりしてるし、どれがどうなの???と思っていました。今も思っています。
でも、Guest Speakerさんが、LibQUAL+TMは、図書館の評価をするのに貸出冊数とか入館者数といったquantitative(定量的)なものだけからqualitative(定性的)なものへも視点を移すのに大きな役割を果たした。と言ったのを聞いて、なんかちょっとすっきりしました。LibQUAL+TMは今も現在進行形でARLを中心に見直しを図られていますし、どれが絶対的なツールかって問題じゃないんだな、と改めて思いました。
いろいろなツールがあることを知り、そのツールがどんなものなのかを理解しようと集中すると、本来の「図書館を評価する」という目的を忘れてしまいがちになるのは、私の悪いくせです。足元の石につまずきやすいんです。ARLは毎年、研究図書館(Research Libraries→大学図書館だけじゃなくて米国議会図書館なども含めた研究図書館)123館の統計を発表していて、その統計ついても活発に意見交換をしています。ARLのサイトをみるとwebcastとかPowerpointの資料とかアップされていて、面白い。たとえば、雑誌購読数をどう数えるか。冊子体でしか出版されていなかった時代には、同じ大学内でも中央図書館と理系図書館と医学図書館とで同じ雑誌を購読していたら3冊購入と数えることができた。でも、電子媒体での出版になったら、キャンパス内のどこからでもアクセスできるから、冊数で言ったら3冊が1冊になる、つまり、購読冊数は1/3になる。利用者にとってみれば、読みたい雑誌が読めればそれでいいんですが、大学の上の方の人たちは少し違っているんだそうで。「購読冊数は減っているのに雑誌の費用は上がっているじゃないか。なんで?」ってなる人もいるんですって。たしかに報告書としてあがってきたものに載ってる数字を見るとそう思うんでしょうな。それで、これからは購読タイトル数で統計を取っていきましょう。ってなるんだけれど、中には相変わらず冊子体のみで購読している雑誌だってあるわけだし、何年分も統計を見て比較しようとしたときに、この出版媒体の変化を考慮しなかったら、おかしなことになっちゃう。まぁ、図書館の購読雑誌数について調べようとする人で出版媒体の変化を知らない人はいないだろうから、大丈夫だろうとは思うけど。
そうそう、2007年4月の記事でちょっと古いんですが、ACRLが発表した「大学・研究図書館の将来に関する10大予測」をNDLのカレントアウェアネスポータルで見つけたのでコピペします。
「大学・研究図書館の将来に関する10大予測」
1. 蔵書のデジタル化、デジタルアーカイブの保存、データの蓄積・検索方法の改善の重要性が増す。2. 図書館員に必要なスキルセットは、学生・教員のニーズ・期待の変化に応じて進化し続ける。
3. 学生と教員の、各サービスへのアクセスをもっと早く、もっと広範にといった要求が増していく。
4. 知的財産に関する議論が、高等教育においてもっと一般的になる。
5. 新しい技術に関連したサービスへの要求が増加し、より多くの予算を必要とする。
6. 高等教育は次第に、組織を一種のビジネスとして見なすようになる。
7. 学生は次第に、自分たちを顧客・消費者として見なすようになり、高品質の施設・サービスを期待するようになる。
8. 遠隔学習が高等教育のもっと一般的な選択肢となり、伝統的な「レンガとモルタルの」モデルを脅かしはしないが共存はしていく。
9. 公的助成による研究から生じた情報への、無料のパブリックアクセスは増加し続ける。
10. プライバシーはライブラリアンシップにおける重要な問題であり続ける。